忍者ブログ
HOME Admin Write

うさみみ出張所

創作専用  気が向いた時に、適当に、色々と。

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ここから解決編が始まりますな第四話。
情報はアレの詳細が出てないだけで、他は全て出ています。
 
銀さんの口調が最高におかしいのは判ってる。が、正解が分らない。
 
註:強調したい箇所の上に「、」の代わりに、その部分を太字にしています。 ・・・・・・orz
  あーあ。何とかならないかなあ。

まずはとにかく現況を聞いてみよう、とひのやの番号を回した。
「はい」と出たのは、運がいい事に月詠だった。
「月詠? 俺だけど」
「銀時か。依頼は片付いたのか?」
「ああ、今帰ってきた。それより、犯人捕まえたか?」
「――まだじゃ」
押さえようとしているようだが、憎々しげな感情が抑えきれず、声に滲んでしまっている。
「そっか。じゃ、簪、どうだったよ? 当たり?」
「・・・・・・」
無言という予想外の返答に、少し焦る。
「え、外れだったの?」
「いや。当たりじゃ」
「何でそんないいにくそうなの? モザイクしなきゃいけないようなモンでもつけてたの?」
「・・・そうではない」
アレ? ツッコミじゃない、と逆に不安になる。
「じゃ何なんだよ」
「皆同じ花の簪をつけておった」
「花? 何の花?」
促されて、微かに諦めたような小さいため息を吐いて、月詠は答えた。
「――銀梅花じゃ」
「銀梅花?」
鸚鵡返しをした銀時の頭の中で、再び何かが動く。それに気付いたが、今は無視して、浮かんでくることを口にしていく。
「銀梅花っつったら、あの、アレ、お前が花火大会の時つけてたヤツだよな?」
「――そうじゃ」
銀梅花の簪。煙管。吉原の女。
花火大会の翌日に見つかった幼女の死体。
「・・・・・・お前、あの後、すぐに吉原に帰った?」
肯定の返事が返って来ると思った。だが。
「いや」
否定の言葉が、銀時の脳内を駆け巡る。
「あの後、エレベーターから降りてきた油虫を見かけてな」
「油虫? ゴキブリいたの?」
「ああ、ずっと追っている小悪党をわっちらがそう呼んでおるだけじゃ。脂性のようなんで、ゴキブリではなく油虫と呼んでおる。その男の後を追ったが、見失いんした」
「どっちの方に行った?」
「よく判らん。人が少ない寂しい所でありんした」
「他に何か見なかったか?」
じわりじわりと核心に迫ってきている感じがする。手のひらがべっとりしているのに気付いた。
「・・・若い娘が襲われているのなら見た」
若い娘?
「小さい女の子じゃなくて?」
「いや。10代から20代くらいに見えたぞ」
途端に拍子抜けしたように、張っていた気が抜けた。違うな。そう思ったが、まだ頭が妙にクリアなままだ。
「他は? 他に誰か見なかったか?」
「他は・・・まあ何人かとすれ違ったりしたが・・・。なんじゃ、さっきから」
「いや、ちょっと・・・。そうだ、神社なかった?」
「ありんした。石段が多くて、少し上のほうにある」
再びぞくりと何かが駆け巡る。そうだ、やはりこの道は間違っていない。
「行った?」
「いや。わっちは尾行していた故。行く理由もありんせん」
行ってはいない。では・・・?
いや、違う。
思考の暴走から我に返った。
根本的に間違っている。だって、殺されたのは・・・・・・。
銀時は、以前月詠から聞いた、一人目の被害者のことを思い出した。
花火大会帰り。浴衣。銀梅花の簪。煙管。
月詠と似た格好だ。
だが、決定的に違う点がある。
下駄とブーツ。
あの日、月詠は鼻緒が切れたからと、代わりにブーツを履いていた。

――だからか!

ようやく辿り着いた答えに、銀時は受話器を手にしたまま、思わず立ち上がっていた。様子を見ていた新八が目を丸くする。
「銀時?」
月詠が黙ってしまった相手に声をかけると、銀時は叫んだ。
「犯人の狙いはお前だ、月詠!!」
飛躍した思考は、意外にも真実を言い当てていた。
 
「わっち・・・?」
「お前、その尾行失敗したって時に、幼女殺しの犯人の顔を見てんだよ!」
「幼女殺しの犯人? 地上での事件のか?」
突然思ってもみなかったことを指摘され、また意外な事件が絡み、月詠は少し困惑している。
「ああ。花火大会のあった日、お前が見た神社で、五人目の被害者が出てる。お前、犯行現場は見てないかもしれねーが、犯人の顔は見ちまったんだよ!」
「下手人の顔を・・・?」
「ああ。だが、多分向こうはお前の顔をはっきりと見ちゃいねェ。だから、お前と、一人目の被害者を間違えたんだ」
「間違えた・・・?」              
「ああ。おそらく殺してからだろーが、犯人は、履物が違うことに気が付いた」
犯人は月詠の顔だけでなく、足元もちゃんと見ていなかったのだ。見ていれば、間違えることなどない。だが、殺した女が履いていた下駄を見た時に、はっとしたに違いない。自分の顔を見た女は、下駄の音をさせてはいなかった、と。
「間違えたことに気付いた犯人は、以後は簪と煙管を頼りに次々手にかけていったんじゃね?」
「それって、口封じの為ってことですか銀さん!」
ずっと黙って聞いていた新八が思わず声をあげた。
「だろーな。吉原に住んでいるとはいえ、その時は地上に来てたんだ。いつか、幼女殺しがあった場所の近くで、自分を見たと思い出されるかもしれねーから、そうなる前に、手を打とうとしたんだよ」
「だから、最近女の子殺しが起こってないんですね!?」
「ああ。ヤローは吉原で凶行を行ってたんだからな」
「あれ、じゃあ、何で二人目に殺した女性は目撃者の月詠さんではないって犯人は気付いたんですか?」
「いや、多分そーじゃなくて、目撃者が誰なのかもう全然判らねーから、条件に合う女を片っ端から殺すつもりなんだろーよ。それで正解にブチ当たれば良し、当たらずとも怖がって地上に外出しなくなれば成功だ」
理由は違うが、一応成功はしてるわな、月詠は見回りで地上に来てねーんだから、と銀時は付け加える。
万事屋では興奮して盛り上がっていたが、ひのやでは空気が凍っていた。
「――なるほど。確かに、そう考えると辻褄が合うのう」
「だろ?」
高揚している銀時は、月詠の声がひんやりとしているのに気付かない。
「それならば、わっちに心当たりがある。・・・顔は覚えておらぬがな」
「・・・気ィつけろよ。相手は素人とは云え、お前が狙われてるのは間違いないんだから」
「大丈夫じゃ。わっちを誰だと思っておる。百華の頭、死神太夫じゃぞ。素人如きに遅れは取らぬ」
「いやまあ、そーだろーけど」
「ありがとうな、銀時。意外にぬしは名探偵の素質があるのう」と素直に褒めたが、一転、「・・・・・・まさか、今電話口にいるのは、コナンではあるまいな?」
「間違いなく銀さんですけどォ!? 見た目も頭脳もアソコも全部大人、その名も坂田銀時ですけどォ!?」
「そうか。見た目は天パ、頭脳は中二か。疑ってすまなかった」
「謝る気ねーだろ!?」
話がそれたと月詠は咳払いをして、「とにかく」と戻す。
「もうぬしらの手を借りずとも大丈夫じゃ。後に正式に礼をする。長いことすまなかったな」
いきなり御役御免を言い渡されてしまい、銀時は言葉に詰まった。
「ではな」
「あ、オイ――」
一方的に切られてしまった。だが、あともう云える事は「気をつけろ」ということだけだ。
まあいいか、と受話器を置きながら、ひとつ息を吐いた。
「すごいですね銀さん! 本当に名探偵みたいですよ!」
新八におだてられ、銀時は得意気な顔を見せた。
「ここらに」と机の端を指し「『探偵』って書いた三角錐でも置く?」
「・・・なんでコナンネタじゃなくて、それチョイスしますか」
まあ有名ですから、そのボケ判る人がいるかもしれませんが、と冷たい目で突っ込んだ後、新八は今の電話の会話を思い出しながら、
「そうか、吉原の事件は月詠さんを狙ってのものだったんですね・・・」
「ああ」
銀時は手を頭の後ろで組み、背もたれにギッと体重をかける。
「でも、ということは、吉原の事件は自分のせいだって月詠さん考えないですかね?」
「・・・・・・!!!」
銀時が固まった。
「しまったァァァァ!!」絶叫が部屋を揺らす。「思うよ、絶対アイツ思うよ!! アイツそーゆーヤツだよ!! 云うんじゃなかったァァァアアア!!!」
後悔先に立たず。
 
通話を終えた月詠は、簪の位置を直した。
「日輪。行ってくる」
ほんの30分ほど休息を取っただけで、再び外に出ようとしている月詠に、日輪はこっそりため息をついた。だが、月詠の過剰労働にはもう諦めたので、
「気をつけるんだよ。無理だけはするんじゃないよ」
と、もうお決まりになってしまった忠告をした。
いつもなら、「判っておる。大丈夫じゃ」と引き締まった顔で返すのだが、今回は違った。
月詠は薄っすら笑ったのだ。
「ああ。加減はする」
驚く日輪に、「では行ってくる」と再度云って、月詠はひのやを出た。
ゆっくりと歩きながら、素早く周囲に目を配る。
まだそんなに人がいない時間。狙ってくるには丁度良いくらいだろう。
月詠は袂から煙管を取り出し、ふかし始めた。
服装こそ、いつもの、裾に大きな紅葉を散らした黒い片袖の着物だが、簪はクナイを模したものではなかった。
花火大会の日に挿していた、銀梅花の簪。
銀梅花の簪使用禁止令を出した次の手は、自らがそれを差して、囮となることだった。
月詠はいつ現れるか判らない犯人の為に、ここ数日、殆どの時間吉原をブラついていた。百華の頭と判らぬよう、化粧で傷を目立たなくさせて。
簪のことを銀時たちに黙っていたのは、一人で囮をするためだった。教えたら、一人での囮に反対されるかもしれない。いつでも助太刀できるようこっそり後つけるとか、神楽が、もしくは残り二人も女装して、囮になるとか言い出すかもしれない。だがもう巻き込みたくない。ここまで判っているなら、もう自分の手でケリをつけてしまいたかったのだ。
大通りから外れ、少し寂しい道を行く月詠は、先程の銀時との会話を反芻していた。
――そうか。わっちを狙っていたのか。
そう云われると、被害者達と自分の共通点は多い。
煙管。銀梅花の簪。
そして、廓言葉、か。
一人目も二人目も、そして三人目も、廓言葉を使う女だった。
それも、ふるいのひとつだっただろう。
この三つが揃うことは、珍しいと云わざるを得ない。特に簪は、大抵の女が数本の吉丁と櫛を指している。月詠のように、それ以外の簪を使うことは滅多にない。様々なお洒落に溢れる地上にでも外出しないと。
被害が三人ですんでいるのは、条件に合う女がなかなかいなかったせいだろう。
月詠は花火大会のあの日尾行に失敗した後、仲裁に入った件を思い返す。
自分は二言三言喋った。しかも、「吉原に来い」と云ってしまった。
それで、犯人は吉原の女だと確信したのだろう。「行け」ではなく「来い」と云ったのだから。
――全く。何て様じゃ。不届き者を取り逃がしただけでなく、殺人鬼まで呼び込んでしまうとは。
自分への不甲斐なさや苛立たしさ、やりきれない思いをない交ぜにして、月詠は歩みを進める。
だが、もうこれでお仕舞いじゃ。
月詠はまだ対峙出来ぬ犯人に対し、心の中で凄んだ。
ぬしが狙ったのが一体誰だったのか、その身にとくと教えてやるわ。
冷酷な表情をしているのに、頭に血が上っているせいで、先程から月詠を見つめている視線があることに、彼女は気付いていない。
 
「あァァァァ、もう、云わなきゃ良かったァァァ!!! ちょっと『俺すごくね?』とか思っちゃって、全部喋っちゃったよォォォォォ!!」
「そうですね。月詠さんなら、自ら囮を買って出てるでしょうし、狙われるよう仕向けている人に、『狙いはあなたですよ』と云う必要はなかったですよね。『あなたと間違えられて三人は殺されてるんですよ』なんて云われて、いい気持ちはしませんし」
「新八ィィィィィ!! なに傷口更に抉ってくれてんの!? お前Sなの? 意外にSなの?」
吉原行きのエレベーターの前で、銀時と新八はエレベーターを待っていた。
余計なことを伝えてしまったと気付いた銀時は、反射的に万事屋を飛び出した。慌てて新八が後を追いかける。銀時は余程焦ったのか、スクーターという選択肢を忘れ、走ってエレベーターに向かっていた。
「月詠さん・・・。自分を責めてるでしょうね・・・・・・」
「Sは打たれ弱いんだから、もうやめてェェェェェ!!!」
もんどりうつ銀時の後ろで、若い商人風の二人が何やら話していたが、「女の子殺しの目撃者?」という言葉に銀時と新八は反応し、口を噤んだ。
「ああ。亡くなった女の子と一緒に歩いてるのを見た奴がいるんだと」
「へえ。どんな奴だったんだい?」
「それがな――」声を潜めて、「女だって云うんだ」
盗み聞きしていた銀時と新八が顔を見合わせた。
                                          続く

 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

キャラクターが違いすぎるよなあ銀さんと薔薇十字探偵社の人とは、と思ったが、ぱっつぁんと世話役はちょっと似てる(笑)。

拍手[1回]

PR
この記事へのコメント
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新コメント

最新トラックバック

プロフィール
HN:
せーな
性別:
非公開

バーコード
ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析
Copyright ©  -- うさみみ出張所 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by 押し花とアイコン / Powered by [PR]
 / 忍者ブログ