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うさみみ出張所

創作専用  気が向いた時に、適当に、色々と。

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相方:王子からの頂き物です。ヒャッホゥ。ありがトゥー☆
桃視点のみつば姉ちゃんのマフラーの話。ギャグです。さり気なァーい青桃に萌。
タイトルは有名なプレゼントすれ違い夫婦話のもじりになってます。
では、是非に!!

今私たちはまんじりとしない空気の中にいる。
中心にいるのはことはと、黄色のマフラー。
手編みの太い毛糸で編まれた心情的にも身体的にも暖かくなるであろうことがわかる、素敵な贈り物だ。もしかしたら自分が作ったものが負けるかもしれない出来栄えである(でも私が作ってあげたもののがきっと暖かい。流ノ介だって喜んでた)
黄色。それは解る。シンケンイエローだからか、はたまた嗜好からなのかことはは黄色系の服を好む。そりゃあ黄色ばかりとは限らないが、基調としてるのは黄色だ。
ことはの姉もそれが判ってるからこそのチョイスだろう。
ただ、デザインがちょっと―――――アレだ。
 
そう、始まりはちょうど皆でカードゲーム(相変わらずカモは丈瑠だ)をやっていたところに、彦馬さんがことは宛てに荷物が届いたと手渡したことからだった。
「お姉ちゃんからや…なんやろ?」
差出人を確認したことはに「開けてみたら」と好奇心半分で促したのは自分だ。
素直なことははその場で荷物を開き「わあ!」歓声を上げた。同封されてた手紙を読みながら
「マフラーやて!お姉ちゃんうちのために編んでくれたんや…」
とことはが嬉しそうに笑った。
ことはの膝の上にある折りたたまれていたそれは見るからに暖かそうで、見守っていた一同で
「これはすごい!!」
「よかったな! ことは!」
「おおー! あったかそうだなあ。ことはちゃんのお姉ちゃんは器用なんだな!」
と口々に褒めた。
「ね、よく見せて?」
と私が言うとことはは「うん!」と肯き、黄色のそれを開いた。
そこで私は笑顔のまま固まった。いつの間にか周りに集まっていた丈瑠を除いた男連中もだ。
喜んでたことははその空気に気付かず「殿さま! 殿様も見てください、お姉ちゃんがうちにって!」と興奮冷めやらないまま、丈瑠の方にもそれを向けた。
 
黄色地に黒い毛糸で大きく『KOTOHA』と縫いつけられたマフラーを。
 
 
そして今に至る。
ああ、ああいうデザインは私が小さい頃読んでた少女漫画やら何やらを思い出す。運動部に入ってる好きな男子にヒロインが差し入れと称したタオルとか。でもだ、それはサ○エさんとかドラ○もんとかそんな話の中に出て来るキャラクターに許されるものであって、まだ女子高生といえる歳のことはにはどうだろう? ちょっと中学生でもないようなデザインていうか。ああ、でもことは達は人里離れたところで育ったって言ってたから流行には疎いのかも。でもでも、あれは…、と私がぐるぐると考えている後ろでは流ノ介、源太、千明が頭を寄せ合い、ぼそぼそと話していた。
(黄色に黒……来年の干支が虎だからだろうか?)
(いーや! あれはタイガースだろ!? ことはちゃん関西出身だし)
(あんなのエイちゃんタオルぐらいでしか見たことねえ…。意外と姉ちゃんがものすっごいエイちゃんファンだったとか?)
やはり、皆思うところがあるらしい。だよね。
ことはは黄色を好むけど、差し色としては茶色が多いような気がする。たまには黒とかも入ってるが、あそこまではっきりとした危険色風にはしてない。そうだ、野生でいったら黄色と黒っていうのは危険を表わす色だから、ことはを心配したお姉さんが「近寄るな!」という意味であの配色をしたのかもしれない。ことはを敵から守るために。                   
でもナナシやアヤカシには分からないだろう。いや、でも私たちを個別認識しているから色の違いは判るのだろうか――――そもそも敵に退治するときは変身しているし!
 
私たちがことはのお姉さんの感性に翻弄されている一方、ことははニコニコキラキラした目で丈瑠の反応を待っていた。
ちらりと丈瑠に目を向ければ、相変わらず丈瑠のポーカーフェイスは崩れてなく、驚いた風もなかった。いくら何を考えてるのかイマイチ判らない(源太はそんなことないというが)クールな丈瑠とはいえ、アレには地味に言葉に詰まると思ったが、もしかして丈瑠の感性にもど真ん中なのだろうか。街中とはいえ、丈瑠もほぼこの屋敷に閉じこもって育ったのだ。
(しかも育てたのは彦馬さんだしな)
でもこの際それでもいい。私たちが何も言えない分、丈瑠にはことはが傷つかないような言葉を言って欲しい。ふとしたときに言葉がきつくなる丈瑠だけにそれが心配だ。
今フォローを任されて上手く言える人間はこの場にはいない。なんでこんなときに彦馬さんは勘定方に行ってしまったのだろうか! あの人なら私たちがボロを出してしまっても絶対大丈夫なのに!
頼むわよ丈瑠!と半ば願うように丈瑠を睨みつける。
丈瑠の口が小さく開かれる。
「―――よかったな、ことは」
よし!と周りの3人と私は拳を握りしめる。もうそれだけでいい。余計なことは言わないで、ここでよかったねで終わりにして、とほっと息をついてたところに丈瑠の声が続いた。
「きっとその配色は…」
そ、そこに触れないでよ。
「シンケンイエローとして頑張ってるお前を、陰で支えるという意味だろう。黒子の黒だ」
「「「ええええー!? 何その解釈!?」」」
思わず流ノ介と千明と叫んでしまった。
「? なんだ?違うのか? ああ、虎のように強くなれ、という意味も含まれてるかもな。ことはの姉はことはをずっと心配しているから」
それは絶対ない! だってシンケンイエローの折神は猿だもの!
そうは思ったが言えなかった。ことはがいっそうキラキラした目で「殿さま…」と丈瑠の言葉に感銘を受けてはにかんでいたからだ。
「さっすがたけちゃん! いいこと言うぜ!!」
源太はいつの間にか丈瑠の隣に移動して肩に手を回してバンバン叩いていた。
「殿…私はっ、私はっ…」
流ノ介はいつの間にか感涙に噎せている。あんたもか!
そんな中、千明だけが呟く。
「今のそんな感動するような流れだったか?」
「違うよね…」
よかった。私1人置いてかれたらどうしようかと思った。
「俺は絶対ヤザワだと思うんだけど」
しまった置いてかれた!!
私がこの流れにどうしようかと迷っていると、ことはが両手を握り締め言った。
「殿さま、みんな、うち…うち、頑張ります!! お姉ちゃんを心配させないためにも、みんなの役に少しでも立つように!」
なんだかマフラー1つで妙な流れになってしまったが、ことはは元気だし丈瑠も口の端を上げているし、源太はにかッと笑っているし、流ノ介は夕日に走り出しそうな勢いだけど
「まあ、いいか」
とわたしがくすりと笑うと
「だなっ」
と千明も笑って応えたので、今日もこの屋敷は暖かい空気が流れているなと嬉しくなった。
何だかんだ言ってもこのみんなでいる空気が私は好きなのだ。実家では味わえなかったこの暖かさが。
 
 
でも出掛けるときにはそれとなく注意しよう。やっぱりシンケンジャーたるもの悪目立ちはいけない。 


                                                      ≪終幕≫

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