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『家臣と当主』の続きと云うか、これあっての『家臣~』です。今更ながらに『当主』は単語間違えた気がするが気にしない。
これだけ読んでもよく判らないかもしれないので、必ず…出来れば『家臣と~』に目を通してからお願いします。
タイトルの『親と仲間』ってのは、千明から見て、ということで。他に思いつかないから、そんなのに。
舞台は最終幕の後。
これだけ読んでもよく判らないかもしれないので、必ず…出来れば『家臣と~』に目を通してからお願いします。
タイトルの『親と仲間』ってのは、千明から見て、ということで。他に思いつかないから、そんなのに。
舞台は最終幕の後。
『シリーズ:手紙』と設定が違うトコがありますが。私が同一世界の話と思って書いていないからです。
ついに殿の皆勤賞が途切れた話ですが、よろしければどうぞ。
ついに殿の皆勤賞が途切れた話ですが、よろしければどうぞ。
父親に頼まれた買い物をするため、メモを片手にメインストリートを歩いていた茉子は、思わぬ人物を見かけ、目をぱちくりとさせた。何度瞬きしてみても間違いない。なぜここに?と思った時、相手も茉子に気がついた。
「あれー?」
嬉しげな声をあげて手を振りながら茉子に近寄ってきた。にかっと笑い、
「こんな所で、すごい偶然だね」
「お久しぶりです」
茉子は頭を下げた。ポニーテールが揺れる。
「ほんと、凄い偶然ですね。千明のお父さんは、どうしてハワイに?」
千明の父、蔵人は問われて頭を掻いた。
「いやぁ、ちょっと野暮用で……。ええと」少し逡巡し、「“姐さん”は?」
茉子がずっこけた。そういえば名乗っていなかった。
「茉子です。白石茉子」
「ああ」茉子が名乗ると、蔵人はポンと手を叩いた。「そうそう、茉子ちゃん茉子ちゃん。うん、茉子ちゃんは、どうしてハワイに?」
「父と母がこちらに住んでるんです」
「あ、そーなんだ。…お母さん、どう?」
憂慮と心痛が混ざった顔で問われて、茉子は蔵人が母親の響子と共に戦った先代シンケングリーンだったことを思い出した。
「少しずつ良くなってます。リハビリも頑張ってるし」
「そっか」
蔵人はほっと安堵の表情を見せた。そして、親指で店を指した。
「喉渇いたからジュースでも飲もうかと思ってたんだ。時間があったら一緒にどう? おじさん、奢っちゃうよ?」
茉子は笑った。使いは急ぎではない。
「ご馳走になります」
蔵人は喉が渇いたと云ってたが、本当はお腹がすいていたらしい。茉子がノンアルコールのトロピカルジュースを頼んだのに対し、蔵人は「実はお昼まだ食べてないんだよ」とばつが悪そうに笑ってロコモコを頼んだ。
カラフルな花やフルーツに彩られたトロピカルジュースを飲みながら、茉子は千明の様子を尋ねた。
蔵人はスプーンを口に運んで咀嚼し、飲み込んでから、
「あ~、まあ予備校行ったり志葉の屋敷に行ったりしてるよ」
「丈瑠の所にですか?」
「んーまあ。あそこで出るオヤツは美味しいしね。19代目以外もいらっしゃるしね」
ぱくぱくと食べながら、蔵人はどことなく歯切れの悪い言い方をした。しかしそれで悟ってしまう辺りが茉子。
「あー、そういえば、お姫様もあの家に戻ってきたんでしたっけ」
確か「やはり親子は共に暮らすのが一番」とか云って、丹波と共に戻ってきたらしい、と又聞きしたような。
蔵人は食しながら嬉しそうな顔をした。
「召集される前は何だかんだ云ってたけど、結局アイツは志葉の当主に懐いちゃってるよ」
茉子はふふと笑った。「そうですね」
始め「殿」ということに一番反発していたのは千明だった。今でも「殿」に対する忠誠心というのは一番低いが、「仲間」や「友」として、丈瑠や薫と親しく接している。
「でも、びっくりしたなあ。丈瑠が影武者だったなんて」
ストローをかき回しながら茉子がぽつりと云う。
「ああ、うん……」
「私たち、誰も知らなかったし。お母さんに話したら、やっぱりびっくりして。ことはの両親も知らなかったって云うし。やっぱりトップシークレットだから、私たちや前のシンケンジャーたちには教えなかったんでしょうね」
もし知っていたら、おかしな感じになっていたと思う。判った時はショックだったが、知らなくて良かった、と茉子は思い、蔵人を見ると、彼は伏し目がちだった。口を動かしているとかこつけて、茉子が投げた会話のボールを返していないように感じた。
鋭い茉子ならそれで充分。茉子は少し覗き込むように蔵人を見、尋ねた。
「千明のお父さんは、丈瑠が影武者だってご存知だったんですね?」
「……」
俯いてしばし黙った後。
「やー。大昔、19代目と一度だけ会ったことがあってね」
頭を掻いてそれだけ云うと、目玉焼きを口に運んで美味しそうに咀嚼した。詳しいことは話したくないらしい。
だからどういった状況で何故会い、どのようにして影武者と知ったのか茉子には判らない。だが、それを知り、計り知れない衝撃を受けただろうことは予測できる。
息子がシンケングリーンとして、命を賭けて守らねばならない相手が実は影武者。葛藤しただろうと思う。
その結果が、あの千明なのかもしれない。
茉子は再度出会った頃の千明を思い出していた。
招集された流ノ介、ことは、それに自分は、「家臣」ということを自覚した上で、それぞれ丈瑠に対する態度が違っていた。流ノ介は丈瑠を敬い、ことはは慕っていた。自分は命を預けるのだから、丈瑠に殿としての技量や度量があるのか見極めてやろうと、母のこともあり、一歩引いた、かなり冷めた視線で見ていた。
だけど千明は違った。そもそも「殿と家臣」というのに否定的だった。「殿への忠義」を教えられていなかったからこその考えだ。
丈瑠が影武者と知っていた蔵人は、千明に委ねることにした。自分では取り立てて忠義を押し付けない。が、千明が自ら丈瑠を「主君」と判断し、守ると決めたのなら、それは構わない。そういう姿勢で育てたのだろう。
それは、丈瑠に対する思いやりでもあったかもしれない。
「千明って、丈瑠のこと、ちょっと友達っぽく思ってますよね。丈瑠に対して、私たちなら出来ないことを、平気でやっちゃったりしますから」
顔を上げた蔵人に、茉子は優しく微笑んだ。
「丈瑠にとっては、嬉しかったんじゃないかな」
蔵人は手を止め、しばらく茉子を見つめた。
「茉子ちゃんは良いこと云うねぇ」にかっと笑ってみせる。「千明はいい仲間を持ったなあ」
「私も、千明が仲間でよかったです」
茉子が返すと、蔵人は心底驚いた顔をした。
「…ありがとね」
ぽつりと呟いて、蔵人は再び手を動かし始めた。いいえ、というように笑って、茉子はそれを見ている。
終わりにする
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コレを読んで、「緑父と桃にフラグが!」と思った方は、トモダチです(笑)。
相方には「フツーに保育士と保護者」と云われたから………。
フラグのつもりで書いてないけど、私は途中でそう思ったよ。緑父×桃、いいと思うんだけどなあ。
「野暮用」と父は云ってたが、実は仕事でだと考える。緑父の仕事を考えたら、これが出てきてそれ以外出て来なくなってもうた。「小説家」。何となく合う気がする。意外に超純愛物とか書いてて(ペンネームで)、桃が実はファンだったりすると笑える。(はてしなく妄想が広がったが、ここでやめておく)
といいつつ少し。
といいつつ少し。
「茉子ちゃん、これありがとな。めっちゃ泣けたわ~」「でしょう? 私も読んだ翌日目が腫れて大変だったわ」「最後の、お父さんが格好ええ~」「ああ、あれね。まさか娘の為に、ねえ。驚いたわ」「そうそう。せやから親子の縁切ったんやな」「それにさ、……」 ……
(遠くでポツリ)「……姐さんが持ってんの、親父の本じゃん……」
(遠くでポツリ)「……姐さんが持ってんの、親父の本じゃん……」
純愛物(笑)?
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