×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
まだシンケンで。我ながら意外に頑張る。
最終幕後の妄想。
冗談めかした タイトルですが、話は至って真面目。
私のこの話に対する素直な気持ちがタイトルに反映されただけ(笑)。
注意! 今回はカップリング要素があります。
赤×黄だが、主役はみつば姉ちゃん(笑)。私はどんだけみつば好きなの。
みつばに色々勝手に設定しているので、どんと来い☆な人のみで。
そこそこの長さなので頑張ってください!
最終幕後の妄想。
冗談めかした タイトルですが、話は至って真面目。
私のこの話に対する素直な気持ちがタイトルに反映されただけ(笑)。
注意! 今回はカップリング要素があります。
赤×黄だが、主役はみつば姉ちゃん(笑)。私はどんだけみつば好きなの。
みつばに色々勝手に設定しているので、どんと来い☆な人のみで。
そこそこの長さなので頑張ってください!
「殿さま。お姉ちゃんです」
京都から久しぶりに志葉の屋敷にやってきたことはは、嬉しそうに傍らの姉を示した。
「お初にお目にかかります」正座した膝の前にぴしっと指を付いた。「花織みつばです」
そう云って、みつばは綺麗に平伏した。
志葉家19代目当主に目通りすることを望んだのはみつばだった。「ことはがそんなに慕う当主ならお会いしてみたいわ」と半分冗談で云った台詞に、ことはは目を輝かせて、「せや! 会いに行こう、お姉ちゃん。うちも殿さまにお姉ちゃん紹介したい!」と非常に乗り気になったので、ならばということになったのだ。
観光も兼ねて、とみつばが提案すると、ことはは大層喜んだ。幼い頃から修行修行で、二人ともろくに旅行したことがなかったのだ。ことはが志葉家に居候していた時も、観光地にじっくり足を運んだことはなかった。
昨日は横浜中華街を散策し、今日は浅草と東京タワーを巡ってから、志葉家に到着した。丈瑠と彦馬の好意に甘え、本日はここを宿代わりにさせてもらう予定である。
「顔を上げろ」
丈瑠に云われ、みつばはゆっくりと顔をあげる。その目を見て、丈瑠は、ああやはりことはに似ている、と思った。斜め前に控えている彦馬に目をやると、同じ事を考えていたのか、彦馬はひとつ頷いた。
「話はことはから聞いている。体はもう大丈夫なのか?」
「はい。手術を受け、かなり良うなりました」
ご心配頂きありがとうございます、とみつばは頭を下げる。二人のやり取りを、ことははにこにこと黙って見ている。
みつばは襟を正し、丈瑠を見た。
「此度は血祭ドウコクの撃滅、おめでとうございました」
「ああ」
「不肖の妹は、殿様のお役にたてましたでしょうか」
「ああ。ことははとてもよく頑張ってくれた」
「殿さま……」
褒められて嬉しそうな顔を見せたことはを、優しい眼差しで丈瑠は見、ひとつ頷いた。
みつばは黙って、もう一度頭を下げた。それから体の向きを変え、
「日下部様も、ことはにご指導ご鞭撻頂き、誠にありがとうございました」
と彦馬に対し、丁寧に頭を下げた。彦馬は相好を崩す。
「何の。ことはは飲み込みは決して早くはないが、素直で人一倍頑張るので、皆も触発されておったぞ」
と云って、豪快に笑ってから、
「しかし、ことはから少々聞いてはおりましたが、なるほど、しっかりしたお姉さんですな、殿」
「そうだな」
二人の評価に、恐れ入ります、とみつばは再び頭を下げる。大好きな姉を褒められたことははとても誇らしく、満面の笑顔だ。
「堅苦しい挨拶はこれで終わりだ。もっと楽にしてくれて構わない」
と丈瑠が云うと、みつばはにっこりと笑った。
「そうですね」
それでようやく思い出したのか、ことはは自分の脇に置いていた風呂敷を手に取った。
「そや。お土産があるんです」
と云いながら結び目を解き、ごそごそと中から色々と取り出す。
「生八橋に生麩まんじゅう、名代豆餅。それと宇治茶、すぐき漬けと七味、それから…」
ことはからひとつずつ受け取り、箱の表裏に目をやってから、彦馬に手渡す。「食べモンはこれだけです」と最後のひとつまで受け取った彦馬は、「どれか開けてきましょう」と云って、全てを手にして勝手の方に向かった。
「あと…ウチで作った竹細工です」
ことははそう云って、いくつか取り出した。ざるや籠から耳かきまで、実に様々だ。
「よろしかったら使うてください」
「ああ」
丈瑠はひとつひとつ手にして眺める。さすが生業としているだけあって立派なものばかりだ。ことはがシンケンジャーとして召集された時にも、丈瑠や彦馬を含めた六人分の箸やスプーンといったカトラリーやざる等を持たされていたが(初夏には人数分の蕎麦蒸籠や蕎麦猪口を送ってきた)、今回のちょっとした滞在にもこんなに持ってくるとは思わなかった。青竹踏みまである。
この花かごは母上が気に入りそうだなと思ったものの次に手にしたものに目が留まる。
「あ、それは……」
気付いたことはがばつが悪そうな顔をした。
「うちが作ったんですけど……。やっぱり下手くそですね。持って帰ります」
お姉ちゃんが作ったのは気に入られはったみたいなのにな…と少し気落ちしつつ、ことはは自作の一輪挿しを受け取ろうと手を差し出した。
「いや、これはこれで味がある。お前らしさが出ている。ちゃんと使わせてもらう」
丈瑠の言葉に、ことははきょとんとした。そしてぷっと吹き出す。
「殿さま、お姫さまと同じこと云わはるんですね。血は繋がっとらんけど、やっぱり親子やなあ」
くすくすと笑うことはに、尻の座りが悪そうな顔をする丈瑠。仕切りなおしにこほんとひとつ咳払いをして、
「礼を言う。両親にも伝えておいてくれ」
「はい。判りました」
優しく笑う丈瑠と、嬉しそうに笑うことは。みつばはじっと二人を見つめる。
「いつ京都に帰るんだ?」
「明日です。明日、ディズニーランドに行った後に。殿さまも一緒にディズニーランド行かはりませんか?」
「いや、遠慮しておこう」
「そうですか…」
「楽しんで来い」
「はい!」
丈瑠の言葉に一喜一憂する妹を、みつばはじっと見ている。
「殿様。少しお話してもええですか?」
夕食前、黒子を手伝うと云って、ことはは勝手で手を貸している。足を引っ張らない程度には料理を教えてきたから大丈夫だろうと、自分は当初の目的である、志葉家当主に対しての話をしようと、渡り廊下を歩いていた丈瑠を捕まえた。
「何だ?」
奥座敷の定位置に腰を下ろした丈瑠は、下座のみつばを見やる。
「『花織』の家系のことですが」
背筋をぴんと伸ばし、みつばは志葉家当主を見返す。
「『花織』はうちが継ぎ、ことはは嫁に出したいと思うとります」
みつばは静かに宣言した。
ことはがシンケンイエローとして戦っている時から、漠然とそういう考えを抱いていた。だが、体の弱い自分がいつまで生きられるか判らないし、ましてや出産という大仕事を乗り越えられる確証もない。儚い望みで終わるのだろうと思っていたが、手術によってそれは一変した。
「元々はうちがシンケンイエローになる予定でした。せやけど、うちが体が弱いばっかりに、ことはにその役目を押し付ける羽目になりました。うちは生まれた時からシンケンジャーになることを教え込まれとったので、将来というものはまず侍ありき、で考えとりましたが、ことははそうではありません。思い描いていた夢がありました。それを奪うことになり、うちは苦しく思うてました」
「……」
「せやけど、うちはこうして元気になりました」
と云ってから、みつばは少し冗談めかして、
「殿様の手前、大変失礼を承知で申しますが、ことはにはシンケンジャーになることで色々我慢させてきたと思うとります。せやから、結婚くらいは好きにさせてやりたいんです」
丈瑠が何か言おうと口を開く前に、みつばは続けて、
「勿論、シンケンジャーとして実際に戦った経験を持つ者が、次のシンケンジャーを育てるのが一番ええというのは重々承知しております」ばっと両手を床について頭を低くし、「ですが、私も一応は侍としての教育を受けた身。次代を育てることは出来ましょう」
丈瑠は同意の意を込め、ゆっくりと頷いた。
みつばは居住まいを正す。
「実はまだ誰にも申しておりませんが、祝言を挙げる予定が出来ました」
丈瑠は目を丸くしながらも、「それは目出度い」と祝いを述べる。
「相手は、シンケンジャーのことをよう知っており、花織に入ることを承諾してくれとります」
それでこの話を持ってきたのか、と丈瑠は納得した。
「ことはには、好いた相手がおります」
みつばの静かな言葉が、丈瑠の胸に小波を起こす。
「本人の口からはっきり好きやと聞いたわけやありませんが、あの子は判りやすい。いつも嬉しそうにその方の話ばかりします。恋心を抱いとるだけならまだええんですが、もしお付き合いや結婚となるとことはも色々考えるでしょう」
己は「花織」だということに。
「ことはには幸せになって欲しい。せやからうちは、ことはには『花織』の名を捨てさせ、その好いた相手の所へ嫁がせたいんです」
「そう…か」
動揺を抑え、努めて冷静に振舞う丈瑠に、それまでとは少し違う、低く凛とした声が彼を射抜く。
「殿様」
みつばは丈瑠を真摯な瞳で見上げた。
「ことはのこと、どう思うてはりますか?」
「な…に?」
「どう思うてはりますか?」
「どう…とは…」
重ねて問うみつばに、口ごもる丈瑠。みつばは膝を詰める。
「殿様のご返答次第でことはの未来は変わります。ですが、この事はことはには絶対に云いません。うちがことはの姉やということに遠慮せず、率直にお申し下さい。お願いします」
みつばは手を付き、額を床につけた。
ことはを嫁がせたい相手、というのは、俺のことなのか…? だから「花織」の名を…?
丈瑠は土下座したままのみつばを見つめる。
先程初めて当主にお目通りした一家臣風情が、そのようなことを聞くとは。身の程を弁えよ!
丹波ならそう怒鳴り散らしそうな問いかけだ。そして、みつば自身もそれは重々承知の上らしい、土下座したまま微動だにしない。
はぐらかす手もないことはないのだが。
「花織」がかかっている。
そして何より、ことはのことだ。
正直に答えた方が良いだろう、と丈瑠はため息をひとつ吐いた。
「顔を上げろ」
みつばは云われた通りにする。
「ことはをどう思っているか聞いたな?」
「はい」
「…とても、大切に思ってる」
殿としての威厳を保とうと努力しつつも、照れが隠しきれていない。そんな当主の様子に僅かに頬を緩めながら、
「それは好きやということですか?」
とみつばは追い討ちをかける。
「……そうだ」
心持ち赤くなりながらも深く頷く丈瑠に、みつばはぱあっと、だがどこか悪戯っぽく笑った。
「『大切に思うてる』という返答を頂くと思っとりませんでしたので、つい不躾な質問をしてしもうたことをお許しください。うちは、ことはを侍としてどう思うか、『花織』を捨てるにはあまりにも惜しい逸材か、を問うたつもりやったんです」
「!」
嵌められた!
これでは、丈瑠がみつばの言葉を取り違えて、勝手に己の感情を吐露したことになる。
にっこりと笑うみつばに、してやられたという敗北感を感じながら、でもそれは表には出さぬよう努める。あまり巧くいっていないのは丈瑠自身自覚している。
見た目は似ていても、このしたたかさはことはにはないな、と丈瑠は心中で嘆息した。道理でことはが「姉の代わり」とか「姉ならもっと頼りになった」とか気に病むわけだ。
丈瑠は咳払いをして、己の気持ちも仕切り直した。が、丈瑠が口を開く前に、「せやけど――」とみつばは台詞を続ける。
「ということは、殿様はことはを妻にと所望されはるので、うちが『花織』を継がなあかん、ということですね。心得ました。『花織』はうちが継ぎます」
そう云って、みつばは丈瑠の返答を待ち、じっと見つめる。
なるほど。そこか。
丈瑠は得心した。みつばは始めから、「侍として育てられはしたが戦いに参加できなかった花織の長女が『花織』を継ぐことになったので、当主は花織の次女を娶った」ではなく、「当主が戦いに加わった花織の次女を妻にと所望したので、花織は長女が継ぐことになった」という形式に持っていくつもりだったのだ。そのために自分が「花織」を継ぎたいという話から丈瑠の気持ちを引き出すという回りくどい手段を取ったのだ。
それも、ことはのため。
心無い者が「花織の策略」などと云い、志葉家に入ったことはが、肩身の狭い思いをしないように。
外道衆と戦う特殊な一族とはいえ、志葉に入るというのはやはり特別なのだ。それは影武者として志葉家に入った(いや、接したというべきか)自分が一番よく知っている。
そこまで全て考えてのことか。
ことはのシンケンイエローに不満は全くないが、もしこの女性がシンケンイエローだったら、と夢想しかけて打ち消した。仮定の話をしても仕方ないし、花織姉妹に対して失礼だ。
丈瑠は全てを了解したという面持ちで応えた。
「ああ。頼む」
ありがとうございます、とみつばは手を付き、ゆっくりと頭を下げる。丈瑠もひとつ頷いた。
顔を上げたみつばは、手はまだ付いたまま、丈瑠を見上げる。
「先程の事はお約束通りことはには申しません。ことはには『花織』はうちが継ぐ、殿様も了承済みやとだけ伝えます。それでことはがどういう反応するかは――」
おそらくとても驚くだろう。おろおろして、丈瑠に確認・相談する可能性が高い。「お姉ちゃんが『花織』を継ぐことに賛成したってホンマですか?」と。
「ことはは家臣という己の立場を嫌というほど弁えております故、うちが何度指摘しても、絶対に恋慕を首肯しません。殿様、何卒よろしくお願いします」
「ああ」
最後にもう一度だけお辞儀をし、丈瑠の顔を見た。
「ことはにシンケンイエローを押し付けてしもうたと、うちはずっと苦しく思うてました。せやけど、今ようやっと、ことはにシンケンイエローを譲って良かったと思えました」
ほな、失礼します、と云って立ち上がり、奥座敷から去ろうとする背中に、丈瑠は投げかける。
「花織みつば」
呼ばれてみつばは足を止める。丈瑠は静かに続けた。
「お前も立派な侍だ。『花織』は任せた」
勿体無いお言葉、ありがとうございます。
そう呟いて深く礼をし、みつばは奥座敷を後にした。
「ほな、殿さま、彦馬さんに黒子の皆さん。お世話になりました」
ことはがぺこりと頭を下げる横で、みつばもお辞儀をする。
「ああ」
「またいつでも来るが良い。皆が帰ってから、殿はいつも寂しそうにしておられる」
「爺!」
はっはっはと笑う彦馬に、全く…と居心地悪そうな丈瑠。ことははにこにこして二人の様子を見つつ、
「他の皆、千明や流さんはしょっちゅう来てますよね?」
「うむ。特に千明は八つ時によく来る」
と彦馬が同意すると、ことはは「千明らしいわ」と笑う。
その二人が話している隙をついて、みつばは丈瑠に小声で伝えた。
「昨日の件、今日、京都に帰る前にことはに伝えます。殿様、ことはのこと、よろしくお願いします」
みつばが云わんとする意味が判り、丈瑠は黙って顎を引いて了承の意を示した。
「ほな、お元気で」
そう云って手を振りながら去っていくことはとみつば。同じように大きく手を振って見送る彦馬とささやかに手を振る数人の黒子たち。
手は振らずに見送っていた丈瑠は、二人の姿が見えなくなると屋敷にとって返した。
「あっという間でしたな、殿」
もう少しこちらでゆっくりしていけば、と残念がる彦馬に、丈瑠は前を向いたまま口を開いた。
「ことはがもう一泊していく。黒子たちにもそう伝えてくれ」
「え、いやしかし……」
今の様子では、と首を捻る彦馬だっだか、丈瑠が前を向いたまま、それを疑いもしない表情をしているので、「心得ました」と了承した。
「それから、爺。話がある」
何でございましょう、と云いながら、彦馬は丈瑠の後を追った。
日も暮れ、夕餉が終わった頃。
「殿さま! ホンマですか!? お姉ちゃんが!!」
咳き込みながらことはが志葉邸宅に飛び込んできた。
終わってしまえ
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
相方のブログにあった、「シンケンその後」妄想を読んでいて出来た話。
みつば姉ちゃんに夢見すぎというか。始めに書いた話といい、一歩間違えると殿はみつばとフラグたててるよーな気もする。
でも私的には「ゆきやなぎ」や「シリーズ:手紙」とは同一世界ではないつもりです。読むと踏まえてますが。でも繋がってない。変な意地。
「シリーズ:手紙」の時は手紙なのでことはのトノサマ表記を「殿様」にしたけど、会話は「殿さま」で。
でも私的には「ゆきやなぎ」や「シリーズ:手紙」とは同一世界ではないつもりです。読むと踏まえてますが。でも繋がってない。変な意地。
「シリーズ:手紙」の時は手紙なのでことはのトノサマ表記を「殿様」にしたけど、会話は「殿さま」で。
ことはは黒子ちゃんたちにも妹的存在で人気(可愛がられてる)といい。
どうでもいいけど、殿がネズミーランドにいるのを想像したら吹いた。いつか行って欲しい。侍全員で(姫も寿司屋も含みますよぅ)。
PR
この記事へのコメント
この記事へのトラックバック
トラックバックURL: